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ベルリンにはそもそも物件が少なく選択肢が無い
ベルリンにはそもそも空き物件の数が非常に少ないんです。東京だといくらでも空き物件がありますが、ベルリンの物件の状況は、過度な売り手市場でアパートを見つけるのは非常に難しいんですよね。
そもそも日本語でのアパート情報なんてほぼありませんし、ドイツ語が普通、あっても英語でのアパート情報です。空きアパートを見つけて申請しても、すでに別の予約が入っていたり、応募者がいすぎて面接で落とされるケースも普通にあります。
また別のシェアハウスでは私以外にも5人ほどの応募者がいて、同居人となるスペイン人、ドイツ人、アメリカ人と面接した結果、落ちたこともあります。
ヨーロッパ移住する日本人向けに物件を紹介しているユーロエステート
そんな状況なんですが、ユーロエステートというヨーロッパに移住する日本人向けの物件紹介サービスがあります。そこにはヨーロッパの物件情報が日本語で掲載されていて、日本人の中ではそこそこ有名なサービスです。
ユーロエステートは物件を多数紹介して、その紹介料を取るとしています。
当然、紹介料があるので自分で物件を探して、直接オーナーと契約するよりも初期費用は高くなってしまうのですが、ベルリンには物件がそもそもないので、私は藁にもすがる想いでユーロエステートに物件の紹介を依頼したわけです。
でもまさかこの後に、あんなトラブルに何度も遭遇するとは思ってもいなかったですよ…
ユーロエステートと紹介してもらったオーナーとのトラブル時系列
ユーロステートと物件の契約まで
2019年5月22日:ユーロエステートに物件を紹介してほしい旨問い合わせする。
2019年5月27日:ユーロエステートに紹介料を先払いする。
2019年6月8日:ユーロエステートに調整してもらい紹介してもらった物件を内覧する。
2019年6月11日:ユーロエステートから7月1日で契約できるが、もしかすると入居日が遅れるとの連絡あり。その代わり7月1日からは一時的なアパートをオーナーが用意するとのこと。
2019年6月26日:ユーロエステート経由で、オーナーと2019年7月1日〜2020年6月30までの契約書を取り交わす。
予定から2週間遅れてやっと契約物件に入居
2019年6月28日:一時的なアパートの住所や入室時間の確認メールを、ユーロエステートに送る。返信なし。
2019年6月29日:オーナーに直接連絡して一時的なアパートの住所情報をもらう。最初は1ヶ月そこに住んでほしいとのこと。
2019年7月1日:入居。アパート内は掃除中で入室できない。炎天下、荷物を置いて清掃が終わるまで外出する。
2019年7月10日:オーナーからそのままその一時的な家に住んでもいいよ。もしくは別に私の持っている家に引っ越さない?と聞かれNoと答える。
2019年7月11日:21:30頃に連絡があり、もともと契約した物件に”明日”引っ越してと言われる。
怪しすぎるオーナーの動きとノータッチのユーロエステート
2019年9月6日:プレンツラウアー・ベルクにある別の物件に引っ越さない?とオーナーに言われ断る。
2019年12月17日:家賃の振り込み先口座を変更してほしいと連絡がある(1回目)。
2020年1月3日:一時帰国中、オーナーにベルリンに帰ってきたら別のアパートに引っ越しねと言われる(?!)
2020年1月9日:日本からベルリンに戻った20:00、そこから荷造りをさせられて21:00から強制的に引っ越し。帰宅直後の自宅は既に改装中で足の踏み場もないほどグチャグチャになっていた。そして15時間のフライトから帰った直後の引越し。
2020年1月28日:家賃の振り込み先口座を変更してほしいと連絡がある(2回目)。
2020年2月28日:さすがにおかしさを感じ、出ていきたいとオーナーに申し出たところ拒否される。ユーロエステートにもことの経緯を相談したら「対応範疇外」と言われる。
2020年3月2日:家賃の振り込み先口座を変更してほしいと連絡がある(3回目)。
2020年6月30日:契約満了とともに退去
なかなか返金されないデポジット(敷金)
2020年7月28日:これまでの経緯から不安に思い、デポジット(家賃2ヶ月分)がいつ返金されるのかオーナーに返信。「明日返金する」と回答あり
※デポジットは預かり金で、日本の敷金とほぼ同義です。全額返金が基本です。
2020年8月13日:デポジットが返金されないので再度いつ返却されるか確認。「今バカンス中だから週末返金する」と回答あり
2020年8月19日:なぜかデポジットの半分が返金される。なかなか返金されないので、ドイツ人弁護士のロマンさんに相談して、そんなやり方聞いたことがないということで、残りも即返金するよう連絡してもらう。
2020年8月20日:オーナーからの返信はないが、残り半分のデポジットが返金される。
他にもユーロエステート経由の被害が多数報告されていました
あまりに当たった物件が酷かったので、私のようにユーロエステート経由の物件でトラブルに遭った人がいないのかどうか、SNSなどで調べてみたんですがやっぱりいらっしゃいました。
以下のように、ユーロエステートに紹介してもらったオーナーと物件契約して、トラブルになった人が見つかります。
ユーロエステートは絶対使わないことをおすすめします。
うまく行った人もいると思うけど、少なくとも私が住んでいる物件は私の前のテナントもその前のテナントもユーロエステート経由で借りてデポジット返ってきてません。
違法で貸している物件を又貸ししている違法サイトとしか思えない。
— AMO@ノマドライター🐕inベルリン🇩🇪 (@amoeurope) July 21, 2020
その他、ベルリンで会った友人や我々が運営しているフォーラムにも同様の報告が継続的に届いています。
なぜこんな怪しいサービスをよく調べもせずにホイホイ使ってしまうのか?という疑問が聞こえてきそうなのですが、ベルリンは本当に物件が少なくて完全に売り手市場なのです。
ドイツという言語と文化の壁もあり、日本人のサービスだとついどこか安心感を持ってしまうんですよね…また、ユーロエステートはSEOもとれていて、Googleで日本語でヨーロッパの物件情報を検索すると上位に表示されるのも大きいです。
しかも、私もベルリンに来て分かったのですが、ベルリンの日本人コミュニティって滞在している日本人の数を考えると本当に小規模なんです(それがこのメディアを立ち上げた理由の1つでもあります)。
日本人コミュニティが育ってないので、他に聞ける人もいない中で「大丈夫なんじゃないかな…?」とつい質の低いサービスを頼ってしまっている現状があります。
なので実際にはもっとトラブル被害に遭遇されて、誰にも相談できずに泣き寝入りした方々は、数多くいらっしゃるはずです。そしてこれからも同じように被害に遭われる方がいらっしゃるのではと危惧しています。
ユーロエステートの問題点
上記の時系列を見ると、「ユーロエステートに問題があるわけではなく、オーナーに問題があるだけでは?」と思う方もいるかもしれません。もちろんオーナーに問題はあるのですが、私は以下の通りユーロエステートにも問題があると考えています。
- 物件紹介(仲介)をしているのに、その後のオーナーとのトラブルには完全ノータッチ
- 契約完了直後に音信不通になり、メールも返信がなくなる
- 正直グレーな悪徳物件を紹介しているのでは?という強い疑惑
ユーロエステートは契約まではオーナーとの間に入って、物件契約のサポートをしてくれます。しかし契約後一切サポートをしてくれません。何かトラブルが発生してメールをしてもそもそも音信不通で、連絡が取れなくなります。
また上記時系列にあるように、私の場合は何度も他の家に引っ越さないかと聞かれたり、振込先に口座を変更してほしいとオーナーから言われます。口座の変更は1回理由を聞いたら閉鎖されたからと言っていました。
ドイツで真っ当にビジネスができない物件を何も確認せずに紹介しているんじゃないの?と考えてしまいます。
といった最悪のビジネスモデルになっているように見えます。
ドイツ人弁護士のロマンさんに相談してみました
ユーロエステートと物件オーナーとのトラブルに疲れ果てたので、ドイツ人弁護士のロマンさんにも相談しました。
返ってくるはずの敷金が振り込まれないのでロマンさんに交渉してもらいようやく返金してもらいました。
現在、そもそもこのような会社がドイツで営業して良いのかといった見解も確認しており、弁護士ロマンさんのドイツにおける法的見解を含めて、別記事で詳しく体系的にまとめている所です。
2020年9月初旬には第二弾としてさらに専門的な記事をリリースする予定です。私以外にもドイツ国内におけるユーロエステート経由のオーナー被害があれば、ロマンさんに法律的な観点からアドバイスをしていただける予定です。
ユーロエステートで被害にあった方は是非我々にご一報ください
私たちはベルリンに2年以上住んでいて、ベルリンという街の素晴らしさをもっと日本に広めたいと思い、このベルリンぐらしを始めました。ベルリンには良いところがたくさんあるのですが、今回のような問題も存在しているのが実情です。
言語や文化の壁を良いことに、情報の少ない日本人を相手に質の低いサービスを提供して儲けようとしている業者が結構いるのです。実際、今回の件に限らず、物件詐欺などが横行しており、身近に被害に遭われた日本人が何人もいらっしゃいます。
ベルリンは良いところがあるのに、せっかくベルリンまで来て最初にこのような被害にあって、ベルリンという街の印象を落としてしまうのはとても悲しいことです。ですから、私たちは日本人コミュニティを育て、相談できる場所を作り、こういったただ情報が少ないというだけでカモにされてしまう日本人を未然に減らしたいと思ってます。
ユーロエステートで同じような被害に合ったけれど、誰にも相談できずに泣き寝入りの状態になっている方もいらっしゃる方も相当数いるのではないかと思います。それを「情弱だから仕方ない」などと私は思えません。
被害にあった方がいれば、是非参考事例としてご連絡いただけませんでしょうか。
トラブルの事例とエビデンスがたくさん集まれば、情報を取りまとめて正式にユーロエステートに直接申し入れることを検討しています。
また場合によって続報として公開する、法的な観点からとりまとめた記事にも事例として利用させていただければと考えています。
▼続報記事を書きました。「海外移住の際にユーロエステートで物件を借りるのは絶対やめよう」です。是非お読みください。