私自身も一度利用したことがあるんですが、ユーロエステート(リンクしたくないので魚拓)という、ヨーロッパの物件情報を提供する不動産サービスがあります。
日本語でヨーロッパの物件を検索すると、Googleでも上位表示されるので、ヨーロッパに海外移住する際の物件探しで、ユーロエステートを利用した方は多くもいらっしゃると思います。
結果から書きますと、少なくともドイツ国内にいてはユーロエステートを利用するのは絶対にオススメできません。やめましょう。
ユーロエステートを利用してオーナーとトラブルになった方が、ベルリン内だけ数多く報告されていて、問題になっています。そこで、日本でも弁護士事務所を持つドイツ人弁護士のロマンさんに相談しました。
もしも読まれていない場合は、先にこちらの記事をお読みいただけると、本記事の内容がよりスムーズにご理解いただけるかと思います。
Contents
ベルリン内だけでも、ユーロエステート経由の物件で多くの方がトラブルに遭っています
ユーロエステートはヴァレンツ・インターナショナル LLCというもともとフランスに設立された会社が運営だったようですが、2017年にエストニアにValenz International OÜという会社を設立して、こちらが運営しています。おそらく経営者は同じで、移転だと思われます。
エストニアの登記情報の登記情報を見ると、エストニアの会社ではありますが、日本人2名が役員であることを確認できます。
弊社jMatsuzaki Deutschland UGはベルリン内でオンラインコミュニティを運営しています。そしてドイツ人弁護士のロマンさんが無料で一次回答してくれる掲示板(フォーラム)を運営しています。
その中で度々相談を受けるのは、ユーロエステート経由で物件、オーナーを紹介してもらった方の、オーナーとのトラブルです。さまざまなパターンはありますが、頻度が多いのが「デポジットが返金されない」というものです。
私も今年ベルリンに来てからデポジットに関するお問い合わせを、驚くほどご連絡いただきました。賃貸契約書を締結する前、しっかり契約書を確認した上でオーナーさんとはっきりしたコミュニケーションを取るのがベストです。
私が遭遇した7つのトラブル経験
実際に私も多くのトラブルに遭遇しました。
詳しくは前回の記事「ドイツに移住したわけですが、マジで不動産仲介に日本人がカモられすぎてて困惑しました」で、時系列でまとめていますが、より詳しく私のトラブルをまとめていきます。
- ユーロエステートと契約完了後、連絡が途絶える
- 契約開始日当日にアパートに入居できない
- 「明日引っ越して」と急に言われる
- 一時帰国から帰ってきた当日に、別のアパートメントに引っ越しをさせられる
- ドイツ公共放送局(ZDF/ARD)からの郵便を受け取った後に、ポストから私の名前が剥がされる
- デポジットが分割返済になる
- 解除不可能な営業メール
トラブル1.ユーロエステートと契約完了後、連絡が突然途絶える
ユーロエステートにオーナーから物件を紹介してもらった後に、物件の設備状況、家賃、契約日、内観の調整などなど、オーナーと私のやり取りをユーロエステートが代行してくれました。
内見が完了してから実際に契約する旨をユーロエステートに連絡して、ユーロエステートにオーナーとの契約書を添付して契約完了となります。
契約完了後に、物件に関することオーナーに関することを問い合わせてもピタリと返信がなくなります。次のトラブル2に続きますが、重要な情報を確認したくてメールを送っても音信不通です。
契約完了までは基本数時間以内、遅くても1営業日以内ではメールの返信があるんですけどね…
トラブル2.契約開始日当日にアパートに入居できない
2019年6月後半に、2019年7月1日から1年の契約を結びました。その際に7月1日から少しの間一時的なアパートに住んでいてほしいと、オーナーが言っているとユーロエステート経由で連絡がありました。
今考えれば契約した家に住めないのはおかしな話ですが、一時的ということで了承しました。
引越し2日前にユーロエステートに、一時的なアパートの住所や期間を確認を2回メールしましたが返信が一切ありません。これはトラブル1の上記で書いた通りですね。
今まで連絡を代行してくれていたのに、最後の最後に住所や時間など伝えられずに非常に困りました。結局引っ越し前日に、オーナーに直接確認して一時的なアパートに入居しました。その時もオーナーが時間通りに来なかったので、ベルリンでは珍しい35度近くの炎天下で、汗だくで待ちました。
その後オーナーが到着したので、入居をしたのですが、その一時的なアパートは清掃中で部屋に入ることができなかったので、荷物を置いてから3時間ほど炎天下の中で外出して時間をつぶしました。
トラブル3.「明日引っ越して」と急に言われる
トラブル2からの続きです。
一時的なアパートについては、オーナーから初日(7月1日)に「このアパートには7月14日までで、その日に本来のアパートに引っ越してほしい」と言われました。
1週間ほど経過し、「その一時的な家にそのまま住まないか?」とオーナーから言われたのですが、「契約書も今いちど取り交わすのが面倒だし嫌だ」と返信しています。何のために契約書結んだんでしょうか。
そして7月11日の21:30頃に、「明日早めに引っ越して。鍵は近くのキオスク(日本のコンビニみたいなものです)の店員に渡してあるから受け取って」という連絡があって引っ越しになったのです。
朝早く起きて引越し先物件の近くのキオスクまで、レンタル自転車で20分ほど炎天下の中、めちゃくちゃ汗かきながら向かいました。しかし、結局キオスクの店員さんに聞いても、鍵は受け取っていなかったのです。
呆然としてオーナーに電話したのですが繋がらず、連絡先を知っていた掃除のスタッフの女性に聞いてみると、「私が鍵預かってるよ」ということで、また炎天下の中レンタル自転車で帰り、本来住むアパートの鍵をゲットしました。
話を聞いたら私にキオスクの件を連絡した後に、やっぱり清掃スタッフに渡すことにしたらしいです…
トラブル4.一時帰国から帰ってきた当日に、別のアパートメントに引っ越しをさせられる
それまでも何回かオーナーから「私が所有している他の物件に引っ越さないか?」と連絡があったのですが、引っ越しも住所登録も契約書を再度取り交わすのも面倒なので、ずっとNoと返信していました。ちなみにベルリンの住所登録は、中々予約は取れないし本当に面倒くさいんです。
私は2019年の11月〜2020年1月初旬まで日本に一時帰国していたのですが、2019年12月に「今のアパート改装しなきゃいけないから、帰ってきたら別の家に引っ越して」と言われました。これはYes/Noの質問ではなく、強制的な引っ越し命令ですね。
契約はどうするのか?家賃は変わるのか?住所登録はできるの?などなど気にすることだらけでした。ちなみにこういった質問をメールしたのですが、オーナーからその返信はなく楽しい一時帰国がストレスフルでしたね。
実際に帰ってみると家はすでに改装中で、部屋は足の踏み場がない状況です。といってもアパート自体が改装なわけじゃなく、オーナーとスタッフが勝手に家の中を改装しているだけでしたが。
20時頃に到着して15時間ほどのフライトで疲れているにも関わらず、そこから荷造りをして21時頃にオーナーの車で引っ越しをしました。
うん、めちゃくちゃ疲れました
トラブル5.ドイツ公共放送局(ZDF/ARD)からの郵便を受け取った後に、ポストから私の名前が剥がされる
住民登録をしたタイミングで、ドイツ公共放送局(ZDF/ARD)から料金支払いの請求書が来ました。日本のNHKみたいなものです。ちなみに住所登録のあと、料金支払の請求書が届くのは普通のことです。
今までの物件ではオーナーがZDF/ARDの料金を支払っていて、私は支払う必要がなかったので、オーナーが来た時に「これどうすればいいですか?」と見せました。別にZDF/ARDの料金を入居者が支払うのなら、それでも別にいいんです。入居者が支払う物件がベルリンでは通常だからです。
オーナーからは「あぁこれは私が確認しておきますね。もしも今後この郵便が来たら私に渡してください」と言われたので、オーナーが支払っているから私は支払わなくていいことになるのかな?と思ったのですが、多分そんなことはないですね…
この後ポストから私の名前のシールが剥がされてました。
次引っ越した物件に住所登録をしたので、ドイツ公共放送局(ZDF/ARD)の料金1年分未払いですよとか連絡きそう…うわぁ面倒くさい。
「ポストにシールを貼らないでほしい」と言われました。
トラブル6.デポジットが分割返済になる
私の経験ですが住宅を契約するときに、1ヶ月〜3ヶ月分のデポジットを支払います。基本はこれは退去後に全額返ってくるお金です。このオーナーの場合は、家賃2ヶ月分のデポジットを支払っていました。
退去が完了してデポジットの返金を待ってました。
デポジットの返却期間は、最大約6ヶ月と聞いていました。しかしいつ返却されるのか時期を知りたかったので、退去後1ヶ月後に「デポジットの返却はいつ頃になりますか?」とオーナーに送ったところ、「遅れてごめん。明日払うね」と返信が速攻でありました。
正直デポジットでまたトラブルになるんじゃないかとヒヤヒヤしていたので、その返事で安心したのですが、結局なかなか返金されません。
何回か連絡したのですが「ごめん今バカンス中!週末払う!」などなど、なんだかんだで返金をぐらかされます。
そして1ヶ月半ほどが経過したときに、デポジットの半額が返却されました。振込時のメッセージには「分割返却の初回払い」と書いてありました。
「え?ドイツだとデポジットって分割払いあるの?」と思って、弁護士のロマンさんに相談しました。
デポジットはあくまで預り金で、オーナーのお金ではなく入居者のお金です。
どんな理由があってもそのお金に手をつけてはいけませんし、何かでオーナーが使った場合は違法です。常に全額を即返金できるような状況でないといけません。
もちろん入居者の退会時に家具が壊れていたり、業者を呼ぶ必要がある汚れがあるなど、問題があったときはデポジットからその費用は引かれます。そのために基本6ヶ月間の期間を与えられています。
しかし問題がなければデポジットは全額返金されます。
相談してロマンさんからオーナーにご連絡していただいた結果、そのメッセージに返信はなかったですが、すぐに残りの半額が返金されました。ロマンさんにすぐ相談してよかったです。
今までも多分このオーナーはデポジット返金しなかったり、半額返金で済ませたりということをしてたんじゃないかなぁ…
トラブル7.解除不可能な営業メール
ユーロエステートの良くないやり方だと思うのですが、ユーロエステートを利用したことある人おそらく全員に、物件の営業メールを送っているんですよね。
営業のメールを送ることは別にいいと思います。しかし、良くないのがこういった営業メールの解除方法の記載がないんですよね。
これ解除するためにはわざわざメールで返信しないといけないんですかね?そもそもユーロエステートは上記の通り、契約後返信してくれないので、それで解除できるかどうかも心配ですけどね。
ユーロエステートの問題点
ユーロエステートの問題点は、以前書いた記事でも書きましたが、以下の通りだと私は考えています。
- 物件紹介(仲介)をしているのに、その後のオーナーとのトラブルには完全ノータッチ
- 契約完了直後に音信不通になり、メールも返信がなくなる
- 正直グレーな悪徳物件を紹介しているのでは?という強い疑惑
上記トラブルは「オーナーに原因があるのでは?」と思えるのですが、そもそもトラブルに遭ってもユーロエステートはノーサポートで音信不通。その上、他のトラブル事例の報告を聞いても、トラブルの発生しやすいグレーなオーナー、質の低い物件を斡旋しているのでは?という疑惑があります。
ユーロエステートの言い分は「仲介業者ではないので、その責任もない」
この1つ目の問題である不動産・物件の仲介について、もう少し詳しく確認してみます。以下がユーロエステートの仲介業務における問題です。
- 仲介業務でなく物件紹介のみのサービスという名目で、仲介業務責任を放棄
- しかし実際の業務内容は、少なくともドイツ国内においては仲介業務だと思われる
ユーロエステートの業務内容については、2020年9月2日現在の利用規約に以下のような記述があります。そもそも会社名が古いままになっていますが。
この利用規約を盾にユーロエステートは、オーナーとのトラブル関係に一切を責任をとりませんしサポートもしません。
私も経験がありますし、相談を受けている方からの報告にもありますが、オーナーとの契約完了後に、ユーロエステートに連絡をしても、音信不通となって返信が来ないことがほとんどです。
その際上記のトラブル事例にも詳しく書いたのですが、入居時に一時的に別のアパートに住むことになりました。その一時的なアパートの住所やチェックインなどの情報が、引っ越し2日前になってもユーロエステートから何も連絡がありませんでした。
一時的なアパートの住所やその期間を教えてほしいと、複数回私からユーロエステートへメールしたのですが、そのメールには現在でも返信はありません。
ユーロエステートは仲介業務をしてないのか?
ユーロエステートは仲介ではなく、サービス提供のみのコンサルティングであるということで、オーナーと入居者とのトラブルには一切かかわりませんし、返信すらしません。
本当にユーロエステートは物件を仲介していないのでしょうか?仲介の意味を今一度確認してみました。
私の経験ですとユーロエステートはオーナーと私が契約書を結ぶまでは、メールで双方の間に立ってやり取りを行います。
こちらから「洗濯機はあるか?」「家賃にインターネット料金は含まれているか?」といった質問も、ユーロエステートが代わりにオーナーに連絡をして返信をもらいますし、内観の日程も間に入って日程を決めます。というかそもそも内観までオーナーの連絡先は教えてもらっていません。
そしてオーナーとの契約自体もユーロエステートから契約書が届いて、その契約書にサインしてユーロエステートに添付して返信します。
これって立派な仲介業務ではないのでしょうか?
ドイツの営業法によりますと、仲介者の物件紹介や媒介により賃貸契約書を締結されたことは仲介になり、そしてその業務自体はドイツでは資格が必要になります(第34c条ドイツ営業法)。
ただインターネットに無料で物件を紹介するだけであれば、仲介になっていない可能性も高いのですが、上記のような作業・やり取りはどちらかと言いますと仲介だと思われます。
ユーロエステートの邪悪な追加料金と違約金システム
そしてユーロエステートの邪悪なやり方の、もう1つが「延長料金と違約金システム」です。
サービス料金を支払ったあとに、ユーロエステートと誓約書を結びます。このタイミングもおかしいと思いますけどね。なぜ料金を支払い終わって内観の日程が決まった頃のタイミングで、誓約書を結ぶのでしょうか。通常なら誓約書を結んだあとに、サービス料金の支払いではないのでしょうか。
その誓約書にも、以下のような記述があります。
- 退去日が分かり次第、速やかにユーロエステートに連絡すること
- ◯月△日迄に退去すること
- 延長を希望する場合はユーロエステートに2ヶ月前に連絡すること、そして追加料金を支払うこと
- 違反した場合は、紹介料金の2倍の違約金を支払うこと
上記でご紹介した利用規約には「オーナーの提供する物件および連絡先情報の提供のみを行なっており、(中略)、退去を含むご紹介物件の賃貸契約にかかる一切の行為につき、当該情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても責任を負いません」と書いてありますが、この誓約書の内容では、退去や延長について管理をしています。
同じような内容が、利用規約にもこうあります。
この利用規約も誓約書同様ですね。
1つ前に引用した利用規約には退去の賃貸契約に関する一切の責任は負わないと書いてありますが、なぜか滞在期間に関しては正確に情報を確認し、そして延長の場合は追加料金。無断延長の場合は2倍の違約金を払う必要があります。
なぜ仲介業務をしてないと書いてあるのに、延長時に追加料金が必要なのでしょうか?
この違約金システムについて、トラブル被害に遭遇した方から情報をご提供いただきました。
情報を共有していただいた方からは、利用規約の内容を失念しており実際に契約を延長して、半年後に「そういえば違約金を払ってください」とメール連絡があったそうです。
そもそもそういった違約金があるなら、入居者の契約情報を管理して契約終了の一定期間前に、正式に延長するかどうかを確認すればいいだけではないでしょうか?それでも仲介をしていないのに、追加紹介料はおかしいと思いますが。
何も連絡なしに、「なんだか契約延長したみたいですね、違約金払ってください」は、むしろ契約者が無断で延長することを願ってないですかね?
しかし、無資格の場合は難しいでしょう。違約金や延長料金、理解に苦しみます。
もしもユーロエステートを利用して、トラブルに遭われた方は弁護士ロマンさんにご相談ください
私が知るだけでも多くのトラブル被害者がいらっしゃるので、おそらくそれ以外にも数多くのトラブルに遭遇された方がいらっしゃるかと思います。
オーナーは外国人ですし、ユーロエステートは音信不通で返信もしてくれない。デポジットが返ってこなかったり、強制的に退去させられても、どこにも相談できずにおそらく泣き寝入りになるケースが多かったのではないでしょうか?
ベルリンでもそういった情報を良く耳にします。これはベルリンという日本人コミュニティが成熟していない地域で、他に聞ける人がいない状況の中で、ユーロエステートのような日本語のサービスがGoogleで上位表示されれば、つい「大丈夫じゃないか…?」と、質が低いサービスを利用してしまうことにあります。実際に私も利用してしまいましたしね。
おそらく日本人コミュニティが成熟している国やエリアでは、ユーロエステートのようなサービス提供では、すぐに情報が広がってビジネスができないはずです。私達はベルリンに来てから、日本人の横のつながりが弱いと感じています。それがこのメディアを立ち上げたり、コミュニティを運営したり、フォーラムを運営している理由です。
またベルリンにはドイツ語でも英語でもスペイン語でも、そしてもちろん日本語でも相談できる、ドイツ人弁護士のロマンさんもいます。漢字だろうがカタカナだろうが全く問題なしですので、日本人とコミュニケーションするように相談に乗ってくれます。
ロマンさんはドイツ人弁護士であり、日本でも法律事務所も設立しています。当サイト上のフォーラムでも、ドイツ国内にいる日本人の数多くのトラブルやお悩みに、無料で回答をしてくれています。
もしもユーロエステートを利用して、トラブル被害に遭った経験がある方は、是非以下からロマンさんにお問い合わせください。法律的な観点から一時的なアドバイスをロマンさんからしていただきます。